(2013年9月30日発表)
FDAは、Perjeta(pertuzumab)を乳癌のネオアジュバント療法に用いることを承認した。乳癌用薬の需要で一番大きいのはアジュバント療法、即ち、治癒目的の切除術を施行した後に再発防止のために投与する用途である。ネオアジュバントは切除前に薬物療法を行うもので、こちらも再発リスクが高い患者に行う。早期乳癌の40%程度が適応になる模様だ。
具体的には、腫瘍最大径が2cm超、局所進行性、炎症性乳癌など。全摘が適当だが患者が乳房温存術を望んでいる場合も、ネオアジュバントを施行して奏効したら温存術に切り替えるという方法が取られる。広く採用されているが、薬が正式に承認されたのは今回が初。
Perjetaは癌細胞の成長因子受容体her2がher3などと共役するのをブロックする抗体医薬なので、her2陽性乳癌にHerceptin(和名ハーセプチン)などと併用する。アンスラサイクリン系の抗癌剤と併用する場合の安全性は確立していない。
HerceptinもPerjetaも心毒性の懸念があり、累積投与量が閾値を超えるとリスクが高まるアンスラサイクリンと三剤併用するのは、末期癌なら兎も角、完治の可能性のある患者には不適切かもしれない。Perjetaはアジュバント試験が行われているので、やがて答えが出るだろう。
リンク:FDAのプレスリリース
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm370393.htm
FDAがパージェッタのネオアジュバント療法を承認しました。
ネオアジュバントはこれまで漠然と使用されていましたが,今回はネオアジュバントとしての初の正式な適応症となります。
去年5月にFDAが添付の早期BCのpCRに関するドラフトガイドライン発行したことに関連するものだと思います。
pCRがendpointであれば結果がすぐに分かりますし,バイオマーカー探索にもぴったりです。今後早期BCのネオアジュバントグロバール試験が加速しそうです。
ASCO2013でもpCRとDFSが相関するというような発表がありました。
http://meetinglibrary.asco.org/content/80132-102
2013年10月8日火曜日
2013年9月12日木曜日
パージェタを乳癌ネオアジュバント療法用薬として適応拡大申請
2013年7月2日発表
ロシュはPerjeta(pertuzumab、和名パージェタ)の適応拡大申請がFDAに受理されたと発表した。
早期乳癌のネオアジュバント療法に使う。 ネオアジュバントは切除術の前に抗癌剤を使って腫瘍を小さくするもので、乳房温存術を施行する場合や切除術を容易にする目的で行う。 広く行われているが正式に承認されている薬はないとのことだ。
薬の開発プログラムでは、アジュバント(早期癌の切除後に取り切れなかった癌の治療や再発防止のために行う)の第三相試験を行う前のリハーサルとして ネオアジュバント試験を行うことが多く、今回のPerjetaの承認申請も薬効のエビデンスは第二相試験二本だ。
その一つであるNEOSPHERE試験では、Perjeta、Herceptin、docetaxelの三剤の様々な組み合わせを比較したが、一番よかったのは三剤併用で、 pCR奏効率(切除術時に癌細胞が見つからなかった患者の比率)が46%、次がPerjeta以外の二剤を併用した群の29%、 三番目がPerjetaとdocetaxel併用群の24%、一番悪いのはPerjetaとHerceptinだけの17%だった。
(方程式が四つあるので三剤夫々のpCRを計算することが可能だが、答えを検算しても合わない。信頼区間があることや、シナジーと限界効用逓減則が複雑に絡み合うことが原因だろう。)
PerjetaはHer2のHerceptinと異なる部位に結合するモノクローナル抗体で、her2がそれ以外のerbファミリーの表面分子と二量体を形成し成長因子受容体として機能するのをブロックする。
Herceptinやdocetaxelと併用で転移性乳癌の一次治療に用いることが日米欧で承認されている。
http://www.roche.com/media/media_releases/med-cor-2013-07-02a.htm
ロシュはPerjeta(pertuzumab、和名パージェタ)の適応拡大申請がFDAに受理されたと発表した。
早期乳癌のネオアジュバント療法に使う。 ネオアジュバントは切除術の前に抗癌剤を使って腫瘍を小さくするもので、乳房温存術を施行する場合や切除術を容易にする目的で行う。 広く行われているが正式に承認されている薬はないとのことだ。
薬の開発プログラムでは、アジュバント(早期癌の切除後に取り切れなかった癌の治療や再発防止のために行う)の第三相試験を行う前のリハーサルとして ネオアジュバント試験を行うことが多く、今回のPerjetaの承認申請も薬効のエビデンスは第二相試験二本だ。
その一つであるNEOSPHERE試験では、Perjeta、Herceptin、docetaxelの三剤の様々な組み合わせを比較したが、一番よかったのは三剤併用で、 pCR奏効率(切除術時に癌細胞が見つからなかった患者の比率)が46%、次がPerjeta以外の二剤を併用した群の29%、 三番目がPerjetaとdocetaxel併用群の24%、一番悪いのはPerjetaとHerceptinだけの17%だった。
(方程式が四つあるので三剤夫々のpCRを計算することが可能だが、答えを検算しても合わない。信頼区間があることや、シナジーと限界効用逓減則が複雑に絡み合うことが原因だろう。)
PerjetaはHer2のHerceptinと異なる部位に結合するモノクローナル抗体で、her2がそれ以外のerbファミリーの表面分子と二量体を形成し成長因子受容体として機能するのをブロックする。
Herceptinやdocetaxelと併用で転移性乳癌の一次治療に用いることが日米欧で承認されている。
http://www.roche.com/media/media_releases/med-cor-2013-07-02a.htm
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臨床試験(治験)最新情報
2013年9月10日火曜日
タイケルブとハーセプチンの併用が欧州で承認
2013年8月14日発表
グラクソ・スミスクラインは、Tyverb(lapatinib、和名タイケルブ)をHerceptin(trastuzumab)治療中に進行したher2陽性、ホルモン受容体陰性の転移性乳癌にHerceptinと併用する用法が欧州で承認されたと発表した。
適応拡大の根拠となった試験では、併用群のメジアン生存期間は12.9ヶ月、Tyverbだけを投与した群は8.9ヶ月、ハザードレシオは0.62だった。 数字は良いが試験のデザインは奇妙だ。Tyverbのモノセラピーは承認されていないので効果は偽薬並みと考えると、この試験は偽薬にHerceptinを追加する効果を検討したことになる(実際には、対照群ではなく過去に行われたHerceptinモノセラピー試験のデータと比較したのだろうが)。
しかも、ホルモン受容体陰性患者はこの試験の事後的サブグループ分析に過ぎない。 CHMPは困難な課題を乗り越えて承認したことになるが、FDAはエビデンスが不十分と判定したのだろう、この適応拡大申請は米国では撤回された。
http://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2013_07/P1000797.html
グラクソ・スミスクラインは、Tyverb(lapatinib、和名タイケルブ)をHerceptin(trastuzumab)治療中に進行したher2陽性、ホルモン受容体陰性の転移性乳癌にHerceptinと併用する用法が欧州で承認されたと発表した。
適応拡大の根拠となった試験では、併用群のメジアン生存期間は12.9ヶ月、Tyverbだけを投与した群は8.9ヶ月、ハザードレシオは0.62だった。 数字は良いが試験のデザインは奇妙だ。Tyverbのモノセラピーは承認されていないので効果は偽薬並みと考えると、この試験は偽薬にHerceptinを追加する効果を検討したことになる(実際には、対照群ではなく過去に行われたHerceptinモノセラピー試験のデータと比較したのだろうが)。
しかも、ホルモン受容体陰性患者はこの試験の事後的サブグループ分析に過ぎない。 CHMPは困難な課題を乗り越えて承認したことになるが、FDAはエビデンスが不十分と判定したのだろう、この適応拡大申請は米国では撤回された。
http://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2013_07/P1000797.html
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臨床試験(治験)最新情報
2011年4月8日金曜日
バンデタニブ・甲状腺髄様がん・US承認
アストラゼネカの「ザクティマ」(一般名=バンデタニブ)が、外科手術に適さない進行性の甲状腺髄様がんを適応症として、米国で承認を取得しました。
米国食品医薬品局(FDA)は4月6日、アストラゼネカの「バンデタニブ」に関し、外科手術に適さない進行性の甲状腺髄様がんを適応症として承認したと発表。米国国立癌研究所によると、米国では2010年に約4万4600人が新たに甲状腺がんと診断され、1690人が死亡したとされている。甲状腺髄様がんは全甲状腺がんの3~5%に見られると推定され、甲状腺がんの稀なタイプの一つで、現時点でFDA承認を受けている治療薬はないとのこと。臨床試験においてバンデタニブは患者の無増悪生存期間を少なくとも22.6ヵ月達成、対してプラセボ投与群では16.4ヵ月だったとしている。またバンデタニブは心臓に電気的活性を及ぼすことが確認されていることから、リスク評価・軽減対策(REMS)に基づいた制限販売プログラム下での承認となっている。
米国食品医薬品局(FDA)は4月6日、アストラゼネカの「バンデタニブ」に関し、外科手術に適さない進行性の甲状腺髄様がんを適応症として承認したと発表。米国国立癌研究所によると、米国では2010年に約4万4600人が新たに甲状腺がんと診断され、1690人が死亡したとされている。甲状腺髄様がんは全甲状腺がんの3~5%に見られると推定され、甲状腺がんの稀なタイプの一つで、現時点でFDA承認を受けている治療薬はないとのこと。臨床試験においてバンデタニブは患者の無増悪生存期間を少なくとも22.6ヵ月達成、対してプラセボ投与群では16.4ヵ月だったとしている。またバンデタニブは心臓に電気的活性を及ぼすことが確認されていることから、リスク評価・軽減対策(REMS)に基づいた制限販売プログラム下での承認となっている。
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