2009年5月13日水曜日

記録の保存について

GCP第41条に関するQ&Aです。

Q1
 治験審査委員会の設置者が記録を保管すべき期間として「治験の中止又は終了後3年を経過した日」とありますが、ここでいう中止又は終了とはいつの時点でしょうか。

(↓の回答を見るまでに少し考えてみましょう)







A1.
 保存資料の提示等を要請する立場にある規制当局がそれを確認しうる日と
考えられるので、治験中止届又は終了届の提出日であると受取って差し支えない。
(新GCPに関するQ&Aハンドブック[改訂版]より)



Q2.
 GCP上ではカルテ等の記録についての記載がありますが、保管場所の記載がありません。
 カルテは院内で保管しておかなければならないのでしょうか。
 施設外のしかるべき場所で適切に保管し、必要時には電送等で対応することはGCP上問題ないでしょうか。







A2.
 カルテの保管場所につきましては、作成した病院又は診療所以外の場所における保存が可能であること及びその際に遵守すべき基準(*1)が示されています。
 また調査した範囲では本通知以外に診療録等の外部保存に関する通知があります(*2)。

 以上より、これらの通知・基準を満たす場合には、診療録等の外部保存は可能です。

 一方、ご質問の通りGCP上、カルテの保管場所についての記載はありませんが、必須文書の保管につきましては、実施医療機関の長が記録保存責任者を置くこと(GCP省令第41条)、「~紛失又は廃棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるような措置を講じなければならない。」(*3)と定めております。

 したがいまして、記録保存責任者の下、治験依頼者が行うモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れ、原資料(カルテ等原本)等を直接閲覧に供することが規定されていますので、これに対応できる保管体制が必要と考えます。

 特に紙原本のカルテの場合には、治験終了後しばらくは院内にて保管する必要があります。
 
 また、紙原本のカルテを治験終了後に外部保管する場合には、時期、保管期間、保管責任者、保管方法、保管場所等を手順書に明記して、適切に運用することが必要と考えます。
(特に保管期間につきましては、治験の場合、GCP省令第41条に規定される期間が医師法第24条の規定より長い場合はGCP省令に従うことになりますので注意が必要です)
 
 なお、モニタリング、監査、当局等による調査では上記のように原本を示す必要があり、調査時には原本を取り寄せておかなければならず、電送されたものでは代用できません。

(*)引用通知等

*1 「診療録等の保存を行う場所について」(平成14年3月29日付、医政発第0329003号・保発第0329001号厚生労働省医政局長、保険局長通知)

*2 「診療録等の外部保存に関するガイドラインについて」
(平成14年5月31日付、医政発第0531005号)

「診療録等の電子媒体による保存について」(平成11年4月22日付、健政発第517号・医薬発第587号・保険発第82号厚生省健康政策局長、医薬安全局長、保険局長通知)

「記録、帳簿の電子媒体による保存について」
(平成14年8月13日、医薬発第0813001号厚生労働省医薬局長通知)

*3「薬審第445号、平成9年5月29日」のGCP省令第41条に関する説明

(治験119 質問・見解集より引用)
(臨床試験(治験)従事者のスキルアップマガジン~第13報~記録の保存について 2009/5/6発行より)


シンプル薬理学
⇒私が大学生のときに使用していた参考書で(もちろん改訂される前のものです)
 わかりやすく書かれているので、もう一度学習したい方にはお薦めです。

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